2004/01/29 プラハ：旧ユダヤ人墓地

古くからユダヤ人の入植を受け入れてきたプラハではあるが、
それでも市民にとって余所者であった彼らの歴史は決して明るいものではなかった。
この地区から出ることを許されず、また土地の所有なども禁止されていた。
埋葬場所も限られており、
１５世紀から１８世紀にかけては、この小さな敷地にしか埋葬を許されていなかった。

鬱蒼と茂る木立の下、一万基以上の墓碑が所狭しとひしめき合う。
葬られた人の数は、推定で１０万人以上とも言われている。

こうした待遇が改善されたのは１９世紀、ヨゼフ２世の治世において。
これを記念して、ユダヤ人街の地区名は「ヨゼホフ」と名づけられている。

墓地の入場券は、幾つかのシナゴーグ（ユダヤ教の教会）や博物館と共通になっている。
これ１枚でどこでも入れるのだが、閉門時刻も近い。
門番のおじさんに
「もう閉まっちゃうのだから全部は見れない。墓地だけのチケットはないか」と尋ねると、
私のカメラと、背負っていた三脚（三脚は旅の常備品）を見て
「写真を撮るのか？」と聞いてくる。
「そうだ」
答えた瞬間、しまったと思った。撮影は禁止だとか言われるんじゃないか？
果たしておじさんは、笑顔で門の中に誘い入れるように私の肩を叩き
「ＯＫ。いい写真撮って来いよ」と、タダで中に入れてくれた。ありがとうございました。

こんな写真でおじさんが納得してくれるかは分かりませんが、
これを見て今後プラハを訪れる方があれば
是非見ていってください（ちゃんとチケット買ってね）。

右上は、ここで採集した落ち葉。
土も少しフィルム・ケースに入れて持ち帰った。
…これにはちょっと罪悪感を抱いているんですが…

２００２年１０月２５日