2007/09/04 ブリュッセル：風に吹かれて

ブリュッセルの料理と言えば？
その一つはムール貝だ。
中でも白ワイン蒸しはとても有名らしい。
イロ・サクレ地区の適当な店に入り、ムール貝の白ワイン蒸しを頼む。
まん丸のデカイ皿に一杯のムール貝。そしてお代わり自由のフレンチフライ。
しまった。これは一人で食うものではないんだ・・・
「お代わり自由」どころではない。イモで腹を満たしてもしょうがないので、
ひたすらにムール貝を食い散らかす。ビールで流しこむ。
うーん、腹いっぱいだ。
店員がフレンチフライの追加はいるかと聞いてきた。
ふう。そんなに食えるか。

腹ごなしに夜の街を散歩する。
人だかりの向こうから
涼しげな夜風に吹かれてギターの音が聞こえる。
ボブ・ディラン、ビートルズ、ジョン･レノン、そしてツェッペリンの「天国の階段」。
お決まりのナンバーだ。２１世紀だというのに。
だが、いや、だからこそいいのかもしれない。
一息つこうと座り込んだら、なんだか立つのが面倒になってしまった。
旅行中いつも鞄に忍ばせておいた安ウィスキーを口に含みながら、
歌声と共に時が過ぎていくのを眺める。

何でもないような時間。無為な時間が流れていく。
そこにいるのに、映画のスクリーンでも淡々と眺めているような
どこか乖離した感覚。旅に来たんだなあ。

２００４年８月２９日