2004/03/03 クラクフ：熊

カジミエーシュ地区（ユダヤ人街）の壁より。
この地区は今でこそクラクフ市の一部だが、元々は
カジミエーシュ王なる人物が１４世紀前半に創設した全く別の街だった。

クラクフは、１０世紀半ばから１６世紀末のワルシャワ遷都までの間、ポーランドの首都として発展した。
数多くの神話や逸話を伝えてきたこの街、１４世紀半ばにはクラクフ大学（現ヤゲウォ大学）が創設され、
コペルニクスやヨハネ・パウロ２世などを輩出した学術と文化の地でもある。
13世紀にはモンゴルとの攻防を繰り広げた。
一時期、国家が消滅するほどの戦乱や諸国の策謀に巻き込まれてきたポーランドにおいて
古くからの街並みがそのままに残る数少ない街でもあり、旧市街は世界遺産に登録されている。
（因みに現首都ワルシャワの旧市街は残された資料をもとに戦後再建されたもの。
ナチスはこの街を高速道路のジャンクションだけの地にしようとして大規模な破壊活動を行った。）
ヴィスワ川が流れる市の南部にはユダヤ人街があり、第２次大戦中には大規模なゲットーが形成された。
近隣にはオフィチエンチム（独語でアウシュビッツ）もあり、駅、ホテル、タクシーでと至る所で勧誘される。
世界遺産登録前には、市内観光よりもアウシュビッツ見学の要衝として旅人を迎えていたからだろうか。

２００２年１０月３１日