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2004/10/26 フィレンツェ:おまけのフランチェスコ
前出のミニアート教会から降りていくと、途中にもう一つ教会がある。
サン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会。
ついでだからと立ち寄って見上げれば、窓にフランチェスコ。
彼に関する集いの案内も張り出されていたので、きっとここもフランチェスコ会の教会なのだろう。
最後まで何かと縁のある旅だった。引き寄せられてるのかと想像してしまうほどに。
そういえば映画『静かな生活』(監督:伊丹十三、原作:大江健三郎)の中に
そんな話題がちょっと出ていたのを思い出した。
登場人物の作家Kが、子供の頃にアッシジのフランチェスコの話を読んで
大いに恐れを抱いたというエピソードが語られるシーン。
「真実の信仰の為に家も家族も、持っているものの全てを捨てた男が
自分の所にも現れたらどうしよう。その男は、自分にも全てを捨てることを命じに来て、
そのままどこかへ連れ去ってしまうのではないか?
そうなったとき、自分にはそうする覚悟があるだろうか?」と、
少年Kは粉挽き小屋の片隅で顔を真っ白にして怯えていた…。
この旅行の間、フランチェスコに関する本を読んでいたのだが
確かに彼には、愛すべき人間味溢れる言動が多い反面、こと「清貧」に関しては
ファナティックな程に厳格な態度を示していたことが記されていた。
一筋縄ではいかないフランチェスコであります。
さてさて、2回目のイタリア篇もこれにて終了。
次回からはギリシャよりお送りします。
2003年2月13日
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