2006/10/29 アテネ：古代アゴラ

当初は、一旦アテネで１泊し、
バスで南のスパルタ遺跡か北のメテオラ修道院群にでも行こうと思っていた。
その旅費も考えての安宿だったのだが、
夜通し窓からの騒音と蚊に悩まされ、どうにも動く気がしなくなってしまった。
とにかくゆっくり過ごしたくなった。
せっかく来たギリシャだからと少し悩みもしたが、
まあ、無為な時間を過ごすのも
普段には得られぬ贅沢の一つだろうとハラを決めて、
内陸巡りに使おうと思っていた予算を宿泊費に充てることにして、改めてホテル探し。

午前中に別のホテルにチェックインし、
気を取り直して午後から古代アゴラへ。
世界を席巻する「智慧」を発した地の一つである。
幾多ものソフィストたち、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、そしてディオゲネスに
エピキュロス派にストア派etc.
世界とは、自己とは、国家とは、真実とは、善とは、美とは・・・
腹の膨れるわけでもないことを、彼らは真剣に論じ合った。
街を歩き、老人に問い、若者に語り、樽に住まい、毒人参を喰らった。

強烈な日差しの下、熱い風が流れてくる。
いくつもの神殿や集会所、音楽堂などの遺構が晒されている。
瓦礫の山積する地には、もはや往時の面影もないが、
「俺はこんなんなっちまったよ。それで？お前はどうしてるんだい？」
そう問われているような気分だった。

２００３年７月５日