2007/01/05 アテネ：アーレスの丘より

アクロポリスから古代アゴラへと降りて行く途上、
脇道に入ると、なだらかな岩場に出る。アーレスの丘。
何千年もの間に人が行き来したためか（石質のせいもあろうが）、
岩の表面はどこもツルツルに磨かれたように滑らかでよく滑る。
見ていると、スニーカー履きでも滑ってしまうようで
そこを歩く誰もがぐっと足を踏ん張って歩を進めていた。

サンダルを脱ぎ、裸足で歩く。
岩肌に微かに残った日中の熱気が、足の裏に伝わる。
ワッと風が吹き寄せる。
何故かここだけはやたらに風が強い。
アテネの街を染め抜いた夕陽が雲の彼方へと落ち、
少しずつ街灯りが見え始める。
ギリシャで見た最後の夕景。

ここ、アーレスの丘は
ギリシャ神話の軍神アーレスが、
ポセイドンの息子を殺したかどで裁判にかけられた地とされているのだとか。
他にも、キリストの使途パウロがアテネ伝道を試みて説教に立ったとされる地でもあるらしい。

２００３年７月８日