日が落ちた頃には遠くの霞みも晴れ、チロルの山影が現れてきた。 空の遥かに飛行機雲が一筋、長くながく伸びていく。 確認してみると手持ちのフィルムも残りが少なくなってきた。 もう1本くらいあるだろうと思い鞄をみたがもうない。 上の写真を撮り終え、残りはあと8枚。 街中に戻れば買えるだろうが、 街路の夜景は昨晩撮ったから今夜はこの山から撮りたいのだ。 通常、夜景を撮るときは10枚から20枚前後のフィルムを消費する。 そのうち3分の1から3分の2は撮り直しで没になるが、 もうそんな撮り方をしている余裕はない。 2005年冬の中欧旅行、最後の夜。 ここはポイントを押さえて1枚1枚をしっかり撮ろう。 未だにデジカメでないことが悔やまれる一方、 こういうスリルも写真の楽しみの一つだという感覚も忘れたくはない。 2005年2月5日