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2004/01/25 往路:モスクワ・シェレメティエヴォ空港


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空港第二ターミナル21番搭乗口付近。
右下はアエロフロート・ロシアン航空の機内食に付いてくる塩のパック。
未だに旧国家のシンボルが使われているのが、寡黙な歴史の証人のようだ。

評判はあまりよろしくない航空会社だが、機内サービスは至って普通。
それどころか、離陸後に渡される機内グッズの袋を開けてみると
エコノミークラスでも耳栓、アイマスクに加えてスリッパまで付いてくるのだ!
これは旅行中のホテル暮らしでも便利だ。
因みに現在は自室のトイレで使用している。
モスクワ着陸時にはどこからともなく拍手が湧き起こる(そういう習慣のようです)のも
絶妙な雰囲気で好もしかった。

ここモスクワのシェレメティエヴォ空港に午後6時半頃到着。
伝説のロシアはここから始まる。
翌朝までプラハ便を待つ。
空港で一晩?大丈夫。トランジット・ホテルというものがある。
日本の代理店で予約を入れることもできたのだが、その料金は1人5千円。
「ロシアにしちゃ高くないか」という偏見から予約は取らず、現地調達のつもりでいた。

所定のカウンターに行く。オバちゃんがいる。話はすぐにまとまる。
‘No bed,No room.’
そんなバカな!アンタわしらの顔しか見てないじゃないか!
食い下がると午後9時ごろにもう一度来いと言う。
待つこと2時間。別のオバちゃんがいる。何を言うかはもうお分かりですね。さんはい!
‘NO BED,NO ROOM.'

結局空港で一夜を明かすことに。それでも、
おそろいのユニフォームを着たユーゴスラヴィアのフォーク・ダンス・チームが
演奏とダンスを構内で披露したり(輪の中に中国人旅行者も飛び入りしていた)、
中近東あたりの民族衣装を着た一団と一緒にトイレで髭を剃ったりと、以外に楽しめるこの空間。

とはいえ恐ろしい一面も。
気になる右の写真の方をご紹介しましょう。
西アフリカの小さな国、某S.L国のM.Kさんです。
構内の写真左手の階段の上、明かりの灯っている辺りに彼はいました。
ソフトのスーツケースにシーツを広げ、周りには水の入った瓶がいくつか。
長い数珠を数えながらムスリムのものらしき祈りを唱え続けている。
声を掛けてみると、恐るべきことに彼は、もう半年もこの空港で過ごしているのだという。
国情の不安定な彼の母国では、飛行機の欠航もしばしば。
そのあおりを食らった上に、空港職員の黙殺で帰国できないというのだ。
通常こういう場合、空港がその国の在外公館などに連絡して
帰国を手配してくれるのだそうだが、ここでは誰も目を向けてくれない。
ヴィザが無いため、空港から出ることもできない。
旅行者の善意で生き延びているという。余りの困窮ぶりに、小額ながら加勢した。
しかし、あの国出身で海外渡航ができるといえば相当のエリートな筈だ。
それがこんな憂き目にあっているとは!

もし、モスクワ・シェレメティエヴォ空港を利用される方があれば、
どうか彼の安否を確認して頂きたいものです。

因みに、免税店での流通通貨はドルとユーロ。
ロシア・ルーブルの影も見えないのがちょっと寂しい。
午後11時を回ると空調も制限されるのか、窓から徐々に冷気が忍び込む。

2002年10月22日

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