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2004/01/25 プラハ:市民会館


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1911年落慶。
内部はアルフォンス・ミュシャ(チェコ語ではムハ)による
アール・ヌーヴォーの装飾が施されている。
チェコ音楽の祖、スメタナの名に因んだスメタナ・ホールが最大の見物。
このホールは、毎年5月12日(スメタナの誕生日)から開催されるプラハの春音楽祭でも用いられる。
数々の歴史的名演が、ここで披露されてきた。

個人的に特に紹介したいのは、
1990年5月12日、プラハの春音楽祭オープニングコンサート。
前年に念願の民主化を果たしていた時節、この指揮台に立ったのはラファエル・クーベリック。
1940年代、チェコ・フィルの首席指揮者であった彼は国の共産化とともに西側へ亡命。
二度と祖国の地を踏むことはないと思われていた英雄が戻ってきたのだ。
この時すでに齢76歳を迎えており、既に引退していた身でありながら
歓びに沸きかえる祖国にタクトを携えての帰国を果たした。
実に42年振りのチェコ・フィルでの指揮ということで話題にもなったそうだ。
ハヴェル大統領(当時)を始めとするプラハ市民の見守る中演奏された
スメタナの『わが祖国』は実に覇気に満ちた名演といえよう。
たおやかさが魅力で有名な第二楽章「ヴルタヴァ(一般には独語名:モルダウ)」も、
その楽曲の内に秘められた情熱を隠し切れないでいる。
破天荒なほどに盛り上がるこの演奏、聞く人によっては違和感を覚えることもあるだろうが、
他国からの侵略や重圧に常に虐げられつつも抗してきたこの国にとっての民主化・自由化を思えば、
演奏者の内心が塊となって表現し尽くされているという感を否めない。
純粋に形式を重んじようという見方からすれば亜流の評価かもしれないが、
ある程度原型の定められたクラシック音楽であっても
豊かな感情表現が可能なのだという一例でもあると言えよう。

このCDはチェコのレーベル、スプラフォンから出されており
国内でも日本コロムビアから販売されている。
あの悲哀、歓喜、未来への志向性に富んだ演奏、そこに示された意志を
是非とも一度は体感して頂きたいものです。
きっと、何がしかの励ましを得られることでしょう。

右上は、この日に地下のアール・ヌーヴォー・ホールで行われたコンサートのチケット。
例のスメタナ・ホールの写真は後日アップする予定。

2002年10月24日

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