2004/02/03 プラハ：ダリボルカ塔

プラハ城の東端に立つ小さな塔。
牢獄のために建てられたものだ。
塔の名は、最初に投獄されたダリボルという男の名に由来。

ダリボルにまつわる伝説は１５世紀末に遡る。

チェコのある田舎でのこと。
厳しい圧制を強いていた領主に対し、農民達が決起した。
この一揆は成功を納め、領主を追い出したあとの為政者として
人望に厚く、誰からも信頼されていたダリボルが選出されたのだが、
これを聞いた元の領主は激怒。
当時のチェコを支配していた王ブラスチスラフ２世にダリボルを
反乱の罪で告訴してしまい、あえなく彼はここに投獄される。

さて、当時の牢獄では、食料を与えられることはなく
囚人はなけなしの所持金をはたいて食料を買い取るか、
獄中から物乞いをするしか生き延びる術はなかったのだが、
ダリボルは僅かな所持金でヴァイオリンを購入。
獄中で練習を重ねるうちに名手となり、
彼の牢獄には、その素晴らしい演奏への対価として
市民からの食料の寄進が絶えなかったという。

残念ながら、これも束の間の内にダリボルは処刑されてしまうのだが…。

この物語は
スメタナのオペラ『ダリボル』の題材となって現代に伝えられている。

２００２年１０月２７日