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2006/08/10 ミコノス島:Romance in Greece


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ここアレフカンドラ街一帯は
リトル・ヴェニスだとか、海沿いの地をヴェネツィアン・ポートなどと呼ばれる。
「リトル・ヴェニス」と名のつく場所は、ドイツやフランスにもある。
大抵は運河があって、その河岸を小さな家が連なるという風景で、
いわゆる運河繋がりの連想でそう名づけられるのだが、
ここには運河などない。ナゼ?

名の正確な由来は知らないが、少しここでギリシャの歴史を振り返ってみよう。

ギリシャの歴史と言えば、神話時代やヘレニズム時代などばかりが注目されるが、
勿論、そんな時代が化石のごとくに今日まで続いてきたわけではない。
都市国家時代・マケドニア王国時代を経て後、
東方正教会を主体とするビザンツ帝国時代にあった13世紀初頭、
ローマ・カトリック勢の度重なる十字軍遠征を受け首都コンスタンティノープルはついに陥落。
ギリシャはヴェネツィア共和国とフランク諸侯による分割統治時代となる。
そして、その凡そ半世紀後には、イスラム・オスマン帝国の支配下に入る。
その後は独立運動や王政ギリシャ、ナチス統治下、WW2後の軍事政権、民主化と
他の東欧諸国同様に激動の歴史を歩んできた。

岸壁沿いに軒を連ねる背景の建物は、どこかヴェネツィアの街並みを思わせる。
この地域には珍しく、小さいながらカトリックの教会もある。
ひょっとしてこのあたり一帯は、
ヴェネツィア共和国統治時に開発されたのだろうか。
・・・などとまあ想像を勝手に膨らませてみる。
そういえば逆に、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院などは
東方正教会の影響を受けたもので「ロマネスク・ビザンチン様式」と言われ、
共和国時代にはローマの中枢から「あれは異端の建築ではないか」と
物議を醸したこともあったそうだ。

ミコノス島とヴェネツィアの邂逅。
二人の前に広がる海は、どんな歴史を映しては溶かしてきたのだろうか。

2003年7月3日

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