少しずつ空が明るみ始めた。 30体の彫像が並ぶカレル橋上よりプラハ城を。 プラハの代表的な眺めの一つ。 三脚を立てて何枚か撮っていると、 向かいから歩いてきた写真中の男が声を掛けてきた。 旅行中に声を掛けられるのは楽しみである反面、 何らかのトラブルに繋がることもある。 人気のない時間なだけに少し緊張するが、聞けば アメリカからの観光客で 「デジカメの電池が切れたから持っているなら売ってほしい」とのこと。 ちょうど単3電池を余分に持っていたのでそれをあげた。 せっかく早朝のプラハにいて「写真を撮りたい」と思う旅人から 電池ごときで金を取るわけにはいかない。 それが旅の人情ってもんじゃねえか。 いい写真を撮ってってくれいチーン(手鼻)などと にわか江戸っ子と化すプラハの朝であった。 2005年1月29日