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2007/10/13 プラハ:凍てつくヴルタヴァ川
朝の散策を終えて一旦ホテルに戻り、
朝食を取ってから地下鉄で街の南にあるヴィシェフラドへと向かう。
高台になった城跡から南側を見下ろすと
ヴルタヴァ川の入り江はすっかり凍りついてしまっていた。
日中でさえも気温は摂氏−2〜1度。
水の動きのないところでは、氷の解ける暇もない。
ここヴィシェフラドはチェコ(ボヘミア)建国の伝承に纏わる地で、
スメタナの交響詩『我が祖国』でも第1楽章にこの名が付けられている。
伝承によればボヘミアという国の黎明期、この地に住まう人々は
身分の差もなく平等な暮らしをしていた。しかしある時、
「他国には王様と貴族というものがあり、国の繁栄を主導している。
わが国にもこの制度を導入しよう」という声が挙がるようになった。
民衆は預言者リブシェ(神託を授かる巫女のようなもの?)に申し出、
ボヘミアの王たる人物を選出してもらう。
そして農夫プシェミスルがボヘミア王として選ばれ、リブシェは王妃となりここに最初の城を築いた・・・そうな。
とはいえ最近の考古学的調査によれば、この地に残されている城跡は
街の北にあるプラハ城の建設(9世紀以降)よりも、後に築かれたものと見られるらしい。
神話の編纂というものは、様々な時代を経る中で、
語り手の思惑などによって書き換えられていくものであるから
史実として如何というのはまた別の話であるとして、
この話も随分と入り組んだ思想背景を秘めて現代に語り継がれているように窺え面白い。
2005年1月29日
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