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2008/01/21 マテーラ:褐色の街
バーリ・ノルド駅から小さな電車に揺られ、
車窓から緑のオリーブ畑を眺めること1時間半。
15時15分、マテーラ中央駅にて下車し旧市街に向かう。
右はF.A.L線のチケット(3.7ユーロくらい)。
新市街と旧市街との境目となるリドラ通りから、
褐色に乾いたモノトーンの旧市街を眺める。
渓谷の斜面に沿って築かれた街並み。
マテーラの歴史は古く、新石器時代にまで遡るという。
凝灰岩の渓谷に点在する多くの洞窟が、人々に天然の住処を提供してきた。
やがて洞窟と建築が一体化したサッシと呼ばれる独特な家屋が造られるようになり、
この景観を生み出すに至った。
渓谷の下層部には先史時代の洞窟、
中層部には15〜16世紀にかけて造られたサッシ、
そして上層部には17世紀以降に建てられた洞窟を利用しない建築物が並んでおり、
渓谷の姿がそのまま時代の流れを表している。
19世紀に至ると、この3層の構造は貧富・身分の格差の象徴ともなり、
上層部には富裕層、中層部には貧農や労働者が住まわされ、生活環境は徐々に悪化していく。
そして第2次大戦中にはサッシでの居住が禁止され、旧市街は廃墟と化した。
しかし近年、古代から連綿と続いてきた独特の都市文化の荒廃が危惧されるようになり、
現在ではサッソ(サッシの複数形、洞窟住居一帯を指す)の形態を生かした再開発が進められている。
インフラも整備され、土産物の店舗やホテルの一室として用いるなど
観光産業と結びついた取り組みが新しいサッソの街を造りあげようとしている。
まだまだ廃墟となったままのサッシも多く、
荒廃した雰囲気も色濃く残っているが、
新たなる一歩を踏み出し始めたマテーラ。
これからどんな街になっていくんだろうか。
この通りにあるホテル・アルベルゴ・イタリアに部屋を取る。
2005年8月22日
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