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2008/03/19 バーリ:出航前
夕暮れ空が彩りを失い始めた頃、港に停泊していたフェリーが船首の口を広げ
車両を吸い込み出した。
写真右の船はこれから乗船するフェリー、リュブリャーナ(スロベニアの首都名)号。
おそらく、旧ユーゴスラヴィアの解体前から同じ船名を使っているのだろう。
時刻は午後8時過ぎ。イタリアの締めとして上の写真を撮影し乗船所に向かう。
長蛇の列に並び、空港と同様のパスポートコントロールと荷物のX線チェックを受け乗船。
外付けのステップを登り、カウンターでキャビンの鍵と翌日の朝食券を受け取って3畳分くらいの室内へ。
ベッドは2段で上側のほうに小さな丸窓が一つ。
あとはトイレと洗面台にクローゼットが付いている。
際立って綺麗ということもないが、割と清潔に保たれていた。
荷物の整理をすませて一息ついていると、ふいに眠くなりしばし仮眠。
目覚めるとちょうど出航前の時刻。船内の散策に出掛けてみよう。
といっても豪華客船でも何でもない単なるフェリーなので
カジノやプールなんかがあるわけでもなく、
最上階のフロアがカフェになっている程度で
あとはルーフに出て夜景の港を楽しむくらいだ。
とりあえずカフェでビール3本と夜食用のサンドイッチを購入。
カフェの座席は、キャビンやクシェットの予約なしで乗船したものと思われる
若者の団体客や家族連れなどでかなり混雑していたので、
どこか落ち着けるところはないかとブツを持って徘徊。
右舷の外の通路に救命胴衣BOXがあったので、そこに腰掛けまず1本あける。
船が港を離れ始めた。
汽笛が幾たびか鳴らされ、ルーフのほうの人だかりから乾杯の声が上がる。
しばらく、惜しむような気持ちで後方に遠ざかるバーリの夜景を眺め、
港からかなり離れたあたりで前方のほうに向き直ると、
暗闇の水平線上に真っ赤な半月が昇るところだった。
見上げれば満天の星。天の川と思われる光の帯までうっすらと見える。
ひんやりと心地よい夜の潮風に吹かれつつ
1時間近くビールを飲みながら闇の波間と星空を眺めて過ごす。
さて、そろそろ休むことにするか。
シャワールームに行くのが面倒になったので
洗面台で頭を洗い、濡らしたタオルで要所要所の垢を落として就寝。
明朝7時にはドゥブロヴニクに着くから、また早起きに備えねば。
2005年8月25日
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