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2008/03/25 モスタル:廃墟


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午後5時過ぎ、廃墟の建物が残る街中を通り抜け
ほぼ定刻通りにモスタルのバス・ターミナルへ到着。

両替所を探したがすでに閉まっていた。どうしたものか・・・。
大き目のホテルならレートが悪くても両替できるかもしれない。
ホテル・エロという何だか誤解されそうなホテルに足を運ぶ。
想像するにこのEroとは「英雄(ヒーロー)」のことであって、アレのことではない。
http://www.ero.ba/indexEng.php

カウンターに両替レートの表示があったのでお姉さんに両替を頼むと
「ユーロ持ってるなら両替なんかする必要ないわよ」と言われた。
1泊40ユーロ(当時で6000円弱)くらいで、ボスニアで寝泊りするには
ちょっと高いんじゃないかとも思ったが、ここまで歩いて来るまでの
街中の様子を見てしまうと、これだけ綺麗で設備も整っているのは
相当のことなのだろうと思われてしまい、結局ここに2泊することにした。
まあ、日本のビジネスホテル並みの値段ではあるわけだが、
中の雰囲気は本当に豪勢なのでここはお勧めしたい。
やはり名前にはちょっと困ってしまうだろうけど。

部屋に荷物を置いて早速散策に出掛ける。
ちょうどこの年、ここモスタルの旧市街は世界遺産に登録された。
年々観光客も増え、既に平和を取り戻したかのように見える。
確かにかの紛争は終結していた。
それでも街中には未だ、10年以上前の傷跡が残っている。
放置された廃墟の中には絶対に入ってはならない。
爆発物が残っている可能性がある。
逆にいえば、廃墟のまま残っているのは
その可能性が高いから手が付けられないでいるということもあるだろう。

大学時代、ボスニア旅行から帰った同期の友人が
聞かせてくれたエピソードを思い出した。
舗装道路から脇の草叢に一歩足を踏み出そうとしたとき、
周りの人たちが一斉に何事か声を掛けてきたそうだ。
「ミネ!ミネ!」と叫んでは手招きをしたり首を横に振ったりしている。
何のことかと考えていると、「ミネ」=mine即ち「地雷」と思い至り
背筋を凍らせてしまうという話。

現在では、都市部であれば
ある程度は地雷原の位置も確定され、除去されたり、
あるいは「mine」と表記された黄色いテープで囲われたりしているが、
除去から漏れたり、山道であれば土砂崩れなどで
思わぬところに転がってしまっていたりすることもあるらしく、決して油断できない。
この旅行の帰国後にも、ボスニアの少年たちが
たまたま転がっていた手榴弾を見つけ、
「まさかもう爆発しないだろう」と投げ合って遊んでいたら
爆発して死傷者を出したというニュースが報じられた。
戦争の爪あとはどこまでも深い。

2005年8月26日

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