出来るものなら早起きしたかったが、目覚めたのは8時半。 ゆっくりと朝食を取り、10時ごろに外へ出る。 ホテル近くで見かけた、銃撃戦の跡が残る廃屋の窓辺。 かつて、この窓の向こうにあったであろう 名も知らぬ一家の何気ない暮らしを想像する。 風にそよぐカーテンに落ちる木漏れ日。 表通りの眺め。道行く人との語らい。 夜になれば、団欒の灯火を夜道に漏らしていたことだろう。 内戦が勃発してからは、ここから応戦した者もあったと思う。 迫撃砲でも喰らったのか、屋根は抜け落ち青空が覗いて見える。 笑い、悩み、涙、恐怖、憎悪、殺戮、そして沈黙・・・。 人間のあらゆる営みがこの窓に映し出されては消えていった。 そして今はただ、鳥の声だけが聞こえる。 2005年8月27日