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2008/03/30 モスタル:カラジョズベゴヴァ・ジャミヤ 1


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旧市街の中心部へ向かう途中、中を見学できるモスクを発見。
入場券(画像右)を買い中に入ってみる。
人生初のモスクである。どきどき。
中は絨毯敷きなので、入り口でサンダルを脱いでお邪魔しまーす。
すっきりとした白壁の所々を飾る幾何学模様。
窓際に描かれた木だけが具象的で、何だか違和感を覚える。
どういう意図で描かれているのかは不明。

儀礼形態として偶像崇拝を厳しく禁止しているイスラム教では、
礼拝の場に信仰の対象を象った像や絵を安置することはしない。
左の壁の中央に穿たれた部分をミフラーブといい、
イスラム教の聖地メッカの方角を示している(ずれている場合もある)。
ムスリムはここに集っては跪き、深く頭を垂れ、静かに祈る。

このモスクはオスマン帝国統治時代にあたる1557年、
ミマール・スィナン(1495頃-1588)という建築家によって建てられた。
スィナンはオスマン・トルコ様式を確立させた人物で、477もの建造物を設計。
イスタンブールにあるスレイマニエ・ジャミイ(スレイマン・モスク)なども彼の手によるもの。
1538年から彼はスレイマン1世に宮廷建築家として任命されている。
オスマン帝国からすれば、ここヘルツェゴヴィナ地方などは
辺境の辺境といった位置づけだったのではないかと想像するが、
こんなところまで中央の文化が同時的に齎されていたことを考えると
オスマン帝国の統治がいかに領内の細部まで行き届いてきたかを窺うことができる。

そうだ、そろそろボスニア・ヘルツェゴヴィナ史の続きを書いとかないと・・・。

2005年8月27日

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