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2009/11/28 モスタル:スターリ・モスト 5


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スターリ・モストの橋塔(西側)を登ると、
バルコニー状になったところから橋を見下ろすことができる。

一つ前の写真を撮って手元のフィルムがなくなったので
そこら辺の店でフィルムを1本購入。
どこのものともつかぬフィルム(ISO200)で発色の具合も粗い。
向こう岸の家屋が緑青のような色合いになっているのは蛍光灯の灯りのため。
因みに、いつも使っているフィルムは
知人から勧められたFuji-Professoinal(ネガ/ISO400)で、
旅行前に20本ほど買い込んで行き、ホテルから出歩くときに3・4本を鞄に入れておく。
このフィルムは、夜景を撮るときに際立ちやすい
蛍光灯の緑がかった光や白熱灯の赤味などをかなり抑えてくれる(と思っている)。
ちなみに、ISOの数値が高いほど感度がよく、暗いところでも速いシャッタースピードで撮れるのだが、
それに比例してプリント時の粒状感も酷くなっていく。
35mmフィルムで綺麗な画質を求めるならISO100がベストだが、
夜景を狙うことも視野に入れるとなると、私などはついついISO400の汎用性の高さに惹かれてしまう。
Fuji-Professoinalの発色バランスでISO200があればありがたいのだが・・・。
海外旅行先だとISO200のフィルムも結構な頻度で見かけてはいたものの、
感度はほどよくても発色まで保証してくれるものではないのでほとんど使たっことがない。
この写真はそんな数少ない例ということで記念に。

しかしまあデジタル一眼も普及した今となっては
フィルム云々なんて話もナンセンスだよなあ。

撮影後、ホテルまでの途上のレストランで川魚(マスだったか)のグリルを食べ、
いささか道に迷いながら帰宿。
明朝は7時発ドゥヴロブニク行きのバスに乗るので6時半にはチェック・アウトしたい。
早朝のカウンターが無人だと困るので、ホテルのカウンターでその旨を伝えて部屋に戻る。

ご当地ビールを開けながらテレビを点けると
映画『レッド・オクトーバーを追え』をやっていた。
冷戦時代を舞台にソ連最新鋭原潜がアメリカに亡命するという
今となっては古典的なポリティカル・フィクション。
かつて東西世界の間に揺らいだこの国の人々は、この映画に何を思い起こすのだろうか。
そんなことを考えながらいつの間にか落ちるように寝入ってしまった。

最後に、現代のボスニア・ヘルツェゴヴィナの話。

紛争は終結したものの、各民族間の確執がすぐに解消されるわけはない。
そこで、ボシュニャク人・クロアチア人からなる「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ連邦」と
セルビア人による「スルプスカ共和国」という2つの国が設けられ、
現在の「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ」はこれらの連合国という位置づけになっている。
国家元首の役を務めるのは大統領評議会で、これは
ボシュニャク人・クロアチア人・セルビア人の3民族から1名ずつ選出された代表者3名で構成される。

紛争後の不安定な状況を支えるため、国連の監視の下でNATO、EUなどが支援。
日本も主に経済・インフラ設備支援を行った。
現在でも日の丸を付けた黄色いバスがサラエヴォなどで動いている(この旅行時、モスタルでも見かけた)。
また、国連を通じてボスニア・ヘルツェゴヴィナ上級代表(EU加盟国から人選)が設置され、
ボスニア政府内で不穏な動きがあればこれが待ったをかける仕組み。
治安維持では2004年までNATO軍が駐留し、それ以降はEU部隊アルテアが派遣されている。
現在ではほぼ平穏が保たれているとはいえ
残留した地雷や手榴弾などによる傷ましいニュースが時折散見される。
国を挙げての目標はEU加盟で、その意志は新しい国旗のデザインにまで表されるほどだが、
経済状態の建て直しを始め課題は多く
各民族の代表者に極右的な人物が選出され物議を醸すこともあるようだ。
ボスニアを始め、旧ユーゴの国々の行く末は今後も見守っていきたいものである。

2005年8月27日

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